言葉や聴覚に障害を持つ人を対象に機能の回復を図る
医療や福祉でリハビリの専門家で名前が知られているのは、 理学療法士または作業療法士という職種です。
理学療法士、作業療法士と同じように、リハビリテーション医療で 重要視されているのが「言語聴覚士(ST)」という職種です。
言語聴覚士はST(スピーチセラピスト)とも呼ばれますが、 国家資格としては新しく、まだできて10年足らずです。
言語聴覚士の資格を取得するには、養成学校で3年以上学ぶか、 または大学で2年以上に亘り指定科目を履修したうえで、 指定養成施設で2年以上専門知識を学ぶなどで、まず受験資格を得ます。
そして、国家試験に合格しなければいけません。試験は(財)医療研修推進財団が言語聴覚士国家試験の試験事務を行なっています。受験資格などの詳細はそちらに問い合わせるとよいかと思います。
言語聴覚士は原因の特定ができない言葉や聴覚に障害を持つ人を対象にして、 専門的な知識をもとに訓練や指導を行なって、 本来の機能回復をはかる言語聴覚訓練のエキスパートです。
言語聴覚士の仕事は、まず対象者の障害の程度を把握して、 機能の評価をするところから始まります。
具体的には、まず言語聴覚士が障害の程度の検査をします。 その検査結果に基づいて医師や歯科医師が診断を行ないます。
医師が通常の医療では機能回復が困難であると判断した場合は、 言語聴覚士によるリハビリテーションに入ります。
また言語聴覚士が行なう療法は、 主にコミュニケーション障害を対象にしているのですが、 口については食べたり呼吸したりする器官でもあるため、 摂食障害や嚥下障害も訓練の対象に含まれるなど、 その仕事の内容は広範囲にわたります。
現在の法律では医師の診断後、 聴力検査や嚥下訓練は医師の指示が必要とされていますが、 それ以外の訓練や指導は指示が必ず必要とはされていません。
特に福祉の現場では、言語聴覚士には大きな裁量権が認められています。 これまで言語聴覚士は、病院などの医療施設に比較的多く就職しています。
日本では年々平均寿命が延びていることで、 脳血管障害などによる高齢者の言語障害が増えています。 そのため、福祉の分野での採用数も今後伸びてくると考えられます。